江戸時代中期の絵師・伊藤若冲(じゃくちゅう)(1716~1800)と円山応挙(1733~95)が合作した屛風(びょうぶ)が新たに見つかり、大阪中之島美術館(大阪市)が2日、東京都内で報道陣に公開した。2人は当時の京都画壇を代表する絵師で、合作が確認されたのは初めて。
- 若冲・応挙の合作「2人の接点示す発見」 山下裕二・明治学院大教授
新たに確認されたのは若冲「竹鶏(ちっけい)図屛風」(1790年以前)と応挙「梅鯉(ばいり)図屛風」(1787年)。二曲一双の水墨画で、2人が一隻ずつ手掛けた。明治学院大の山下裕二教授(日本美術史)が、今年初めに個人が所蔵していることを知り実物を確認。描き方や落款から、金地に竹と鶏が描かれた左隻を若冲、梅と鯉(こい)の右隻を応挙の作品だと判断した。山下教授は「お互いが最も得意とする画題を描いている。紙の継ぎ目も左右対称で、発注者が金屛風を仕立てて、おそらく画題も指定して2人に依頼したのではないか」と話す。若冲研究の第一人者である辻惟雄(のぶお)・東京大名誉教授も「若冲と応挙の作品と見て間違いないだろう」と述べた。
人気絵師だった若冲と写実を重視して円山派を創始した応挙の直接的なつながりはほとんど知られていない。2人の関係を考える上でも重要な作品になるという。辻氏は「お互いを意識しているように見える。若冲は応挙の絵を見て、負けるものかと描いたのではないか」と話した。
若冲と応挙の合作は、来年6月に大阪中之島美術館で開幕する「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」で一般公開される。(西田健作)