国民民主党が昨秋の衆院選で議席が4倍となり、現在も支持率が好調な理由などについて、神奈川大の大川千寿教授(政治過程論)に聞いた。SNS戦略が奏功し、若者をひき付けた一方、ネット上の支持者の声に左右されがちな姿勢を「大衆迎合」と問題視。党側が人々を「操りやすい存在」としてターゲット化する危険性に警鐘を鳴らすとともに、「政党は時に不都合なことも国民に伝えなければならない」と指摘した。
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――国民民主が支持を集めています。
人口減や経済成長の鈍化などで明るい見通しが立たない中、政治は有効な処方箋(せん)を打ち出せていない。「政治とカネ」など自民党政治のうみが出てきても、それに代わる野党も育っていない。
そうした状況下で、国民民主は「手取りを増やす」を掲げ、短期的な生活へのメリットを想起させるのに成功した。一定の人たちにとって良い処方箋を提供してくれるように映り、「小さくても政治を改革するテコ」や「救世主」として受け止められたのだろう。
加えて、源流が同じ民主党である立憲民主党をあえて突き放して差別化し、彼らを悪者にする姿勢も目立つ。3年3カ月で下野した民主党政権の悪いイメージとの決別を演出している。
――SNS上や若者の人気が高い状態です。
個々の政策で支持を調達し、突破口を開く手法は、短く物事を伝えていくSNS時代にマッチしている。
政党・政治家と有権者の距離が広がる中で、SNSは、両者の関係性を再構築する可能性を秘めている。即座に自分に直接訴えかけてくれる感覚は、有権者を動かす力になり得る。
「映える」は政策理解につながっているのか
一方、SNS政治の隆盛は…