厚生労働省が入る合同庁舎=東京都千代田区

 公的年金の「定期健診」で将来の見通しが示された。女性や高齢者で就労する人が想定を超えて増え、見通しは改善した。若い世代ほど、給付が手厚い厚生年金の加入が進んでいる。ただ、物価を上回る実質賃金の上昇については楽観を許さない状況だ。

  • 年金、年齢でどう変わっていくの?「モデル世帯」でみると……

 女性の就労が進んだ実績を踏まえると、個人では違う風景も見える。特に若い世代では、結婚や出産を経ても仕事を辞めず、厚生年金への加入期間が長くなることで、前の世代より実際に受け取る年金が増える見通しだ。

 厚生労働省は、1959年度から2004年度に生まれた人たちが65歳時点で受け取れる年金の額を試算した。個々人の加入歴をベースにした推計は初めて。共働き世帯の増加など、会社員と専業主婦の「モデル世帯」の年金には反映されない変化を見るためだ。

 高い経済成長からゼロ成長までの経済前提4ケースのうち、②の「成長型経済移行・継続ケース」の場合、今年度に30歳を迎える94年度生まれの人は、年金月額が15万~20万円の人が最も多く世代の約3割を占める。59年度生まれ(今年度65歳)と比べると5ポイント程度高い。04年度生まれでは、25万円以上が主流となり36%を占める。

 労働参加が進まず経済成長がこれまでと同じ③の「過去30年投影ケース」でも、94年度生まれ、04年度生まれともに3割弱が15万~20万円を受け取れる。

 特に女性は改善が顕著だ。②…

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