(23日、プロ野球 千葉ロッテマリーンズ9―3埼玉西武ライオンズ)
うっぷんを晴らすかのように、バットを振った。右へ、左へ。ロッテの猛攻が止まらない。先発全員安打で、今季最多の15安打。前夜に続く、2試合連続の9得点だ。
主将の一発が号砲だった。一回、藤岡裕大が低めの変化球をすくい上げ、右方向へ。同点ソロで流れを引き戻した。二回は山本大斗の左翼線への適時二塁打で勝ち越し、続く友杉篤輝のスクイズで突き放す。三回は高卒2年目、19歳の寺地隆成が3ラン。「先輩たちの流れに乗って初球からいきました」
その後も攻撃の手を緩めず、5月初の連勝を飾った。
少し前まで、チームはどん底にいた。4月下旬から6連敗し、1勝を挟んで5連敗。気づけば最下位に転落し、36試合目で零封負けは10試合に到達した。吉井理人監督は毎試合、打順を組み替えて臨んでいるが、効果は出なかった。
今月11日、西武との3連戦で3試合連続の無得点に終わった直後だった。目を真っ赤にしてベンチに座り込む藤岡の姿があった。
22日のオリックス戦で大勝。31歳の主将はこの日、試合前の円陣で呼びかけた。「勢いに乗っていこう。俺たちはやれる」
一回の本塁打は、その言葉を自ら体現してみせた一発だった。ただ、浮かれている場合ではない。自らに言い聞かせるように、「これからが大事。こんな試合を続けていきたい」。逆襲が始まるか。