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(8日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 横浜5―0敦賀気比)

 敦賀気比の先発は主将としてチームを引っ張る岡部飛雄馬選手(3年)。県大会では、主に遊撃手として出場したが、2試合に登板し4回無失点に抑えた。チームの期待を背負い、夏の甲子園で初めてのマウンドに立った。しかし、初回の立ち上がり、制球は定まらなかった。

 一回裏、横浜の先頭打者をストレートの四球で歩かせると、次打者を含めて最初の7球目までストライクが入らなかった。「どこに投げても入らない。どうしよう……」。期待にこたえようと思ったが、甲子園独特の雰囲気にのまれた。

 内野ゴロや犠飛で一回に2点を失点。二回には右翼手岩崎莉久選手(3年)の好守備で併殺をとり流れをつかみかけるが、その後、2死から3連打で2点の追加点を許した。

 「初戦、いくぞ」。東哲平監督に言われたのは、3日の抽選会の日。報道陣の取材を2人そろって受けている間に、その会場で告げられた。

 最初は半信半疑だった。しかし、「誰にでも経験できることではない」と気合は十分だった。

 二回途中でマウンドを降り、本来の遊撃手として守りにつき、鶴田啓人投手(2年)ら3人に継投。雨天による約1時間の中断の後、四回にも1点を失ったが、中盤以降は互角の戦いだった。

 好守備で試合を盛り上げる場面もあったが、横浜の先発、織田翔希投手(2年)の140キロ台後半の速球に快音は響かなかった。

 最後の打者は併殺で打ち取られた。試合が終わるのを次打者席でみつめていた。

 「なんとか俺にまわしてくれ」。その願いはかなわなかったが、今はこう思う。「つらいときもあったが、みんなが支えてくれた。将来につながる3年間になった」。

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