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ドイツ北西部エムデンにある自動車大手フォルクスワーゲンの工場。電気自動車が製造されていた=2025年2月18日、寺西和男撮影

 欧州最大の経済国ドイツが、緊縮財政から拡張路線へとかじを切る。ウクライナ情勢などへの対応で国防費を増やすほか、インフラ投資を進めて経済の押し上げを図る。ただ、ドイツ財政の悪化が、ユーロ圏全体の金利上昇につながるリスクもある。

 ドイツ連邦参議院(上院)は21日、財政規律を緩和する基本法改正案を承認した。下院でも可決済みで、大統領が22日に署名して成立した。

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 憲法にあたる基本法には、年間の構造的な財政赤字を国内総生産(GDP)比で0.35%までに抑える「債務ブレーキ」と呼ばれる財政ルールがある。世界金融危機のさなかの2009年にメルケル前政権が導入した。

 ドイツのGDPに対する政府債務の比率は10年の80%から23年は62%へ低下。日本(約250%)の4分の1で、主要7カ国(G7)で最も低い。

巨額の財政出動、国防費も増額へ

 ただ、緊縮路線による公共投…

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