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2025年6月16日、カナダで開催されたG7サミットで写真撮影に参加するトランプ米大統領(左)とスターマー英首相=ロイター

 フランスに続き、英国もパレスチナを国家承認する方針へと踏み切った。パレスチナ自治区ガザでの軍事作戦を続けるイスラエルへの圧力が強まった形だが、イスラエル側は反発しており、6万人以上が死亡しているガザの深刻な人道危機に歯止めがかかるのかは見通せない。

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 スターマー首相が決断した背景の一つには、承認を求める国内世論の強まりがあった。調査会社ユーガブが24、25日に実施した調査では「承認すべき」が45%で、「承認すべきでない」の14%を上回った。さらに、下院では28日までに全議員の約4割にあたる超党派255人が承認を求めるスターマー氏宛ての書簡に署名し、複数の閣僚からも承認を求める圧力がかけられていた。

 「特別な関係」にある米国の意向をさほど気にかける必要がないと判断したことも後押しになった。トランプ米大統領は28日にスターマー氏と会談した際、英国の承認について「彼が立場を明らかにしようと私はかまわない」と報道陣に語った。

 英国の決定に、イスラエルは猛反発した。イスラエルメディアによると、同国政府は「安全保障上の懸念や現地の複雑な状況を無視した一方的な圧力だ」と主張。ネタニヤフ首相は声明で「(イスラム組織)ハマスのテロに報い、その犠牲者を罰するものだ」と非難した。

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