英イングランドとウェールズで近く、人工妊娠中絶が犯罪ではなくなる見通しだ。英議会下院が17日、関連法の修正案を賛成379、反対137で可決した。ここ数年、中絶をめぐる捜査が社会問題化し、「時代遅れだ」と批判が高まっていた。
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欧州をはじめ世界では、性や生殖に関することを自らで決められる権利「リプロダクティブ・ライツ」の必要性が強調されている。今回の英国の動きも、その流れに沿うものとなった。
イングランドとウェールズでは1967年の法律に基づき、原則として妊娠24週未満で、医師2人の承認があれば中絶が認められている。10週未満であれば、自宅で経口薬を服用して中絶することも可能とされている。
一方、1861年の法律では中絶は原則禁止で、最高刑は終身刑と定められている。そのため、24週以降の中絶をめぐって女性が捜査されるケースが後を絶たなかった。
修正案を提出したアントニアッツィ議員(労働党)は17日、1861年の法律について「男性だけによって選ばれた、全員男性の議会で通ったビクトリア朝時代の法律」と指摘。捜査を受けた女性は2000年以降だけで「100人超」に上るとし、多くが家庭内暴力や虐待、人身取引の被害者だったと述べた。
■46歳女性、4年半の捜査・…