教育学部入試に「地域教員希望枠」を設けるねらいを話す勝二博亮・茨城大教育学部長=2025年7月29日、水戸市文京2丁目、羽賀和紀撮影

 茨城県内で小学校の教員が不足する状況を改善しようと、茨城大学(水戸市)は2026年度入試から教育学部の選抜に「地域教員希望枠」を新たに設ける。地元の即戦力を育てることが目的で、募集定員は30人。希望枠新設のねらいや求める人材を勝二博亮(しょうじひろあき)・教育学部長に聞いた。

 「県内の教員不足は危機的状況。地方の国立大学として地域の要請に応える使命がある。とくに不足しがちな小学校の教員養成に力を入れることにした」

 文部科学省の21年実施の調査によると、県内の小学校では58人の教員が不足。不足率は0.64%で、関東地方では千葉県と並んで最も高かった。

 県教育委員会は、民間企業からの転職者を想定した外部試験を導入するなど、不足解消に力を入れる。26年度採用の志願者数は3年ぶりに増えたものの、小学校教諭に限ると前年度より減った。

 そこで教育学部は今年10月、教育問題に関する提案発表や面接による総合型選抜を実施する。「茨城ならではの課題を解決できる即戦力の育成」をめざす。

 具体的には、全国平均を上回る不登校児や外国にルーツのある児童への対応を専門的に学ぶコースや、実践的な英語教育などのノウハウを学ぶコースを用意する。「専門性を身につけても現場でつまずく可能性はある。そんなとき、地元に戻ってこられる(学んだ)場所があるのは心強いはず。茨大は卒業生を応援する存在でありたい」

 各コースの修了後、新たに制度化される「特別選考」を経て教員となる。24年度に同学部を卒業した279人のうち県内で教員になったのは144人と半数にとどまり、地元定着が課題だ。

 勝二学部長は「子どもが新しいことを学んで吸収することに関わる教員になりたい、という強い思いを持った高校生らに受験してほしい」と呼びかけている。

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