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HTTRの格納容器内で設備の概要を説明する日本原子力研究開発機構の篠崎正幸・高温ガス炉研究開発センター長=2024年4月30日午前11時12分、茨城県大洗町、福地慶太郎撮影

 国が開発に力を注ぐ次世代原発「高温ガス炉」について、茨城県は2日、商用炉の一歩手前にあたる「実証炉」の設置を求める要望書を国に提出した。高温ガス炉は一般の原発よりも効率や安全性が高いとされ、国は2030年代後半の実証炉の運転開始をめざしている。自治体が誘致に名乗りを上げるのは初めて。

 大井川和彦知事がこの日、経済産業省などに要望書を提出した。そのなかで「県内に実証炉を設置すること」や「実施主体及び設置場所の早期選定に向けた議論を加速すること」を求めた。

 通常の原発(軽水炉)は原子炉を冷やすのに水を使うが、高温ガス炉はヘリウムガスを用いる。軽水炉を大幅に上回る高熱が得られ、発電だけでなく、次世代燃料とされる水素の製造にも活用できると期待される。県内にはすでに試験炉「高温工学試験研究炉(HTTR)」(大洗町)が稼働している。今年3月には、HTTRを運営する日本原子力研究開発機構が水素の製造を始めるための審査を原子力規制委員会に申請した。実証炉では経済性も検証するため、商用炉に近い規模でつくられる見通し。

 県は実証炉の設置を求める理…

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