大阪・関西万博のボランティアのユニホームに、徳島や長野、熊本などのスギやヒノキの間伐材を原料にした「木糸(もくいと)」が使われている。林業の衰退によって荒れた山の資源を有効活用し、森林の再生をめざす試みを世界にアピールする狙いだ。
木糸のユニホームは、万博会場内で急病人などの診療に交代であたるボランティアの医師約400人が身につける。ベージュの白衣とズボン、Tシャツの3種類で、デザイナーのコシノジュンコさんが監修。軽くて柔らかく、吸水性や通気性にも優れているという。洗濯も可能だ。
手がけたのは、大阪、徳島、長野、熊本の企業や森林組合などでつくる共同事業体「木の糸コンソーシアム」。木糸は、スギやヒノキを和紙に加工したものを細断し、強度を高めるため麻を加えてより合わせたものだ。土の中の微生物によって分解されるため、環境に優しいという。
「木糸を通じた循環型社会の取り組みを世界中にアピールできる」。共同事業体に加わり、木糸を独自技術で製造する繊維会社「和紙の布」(大阪府阪南市)の阿部正登社長(67)は、万博スタッフが身につける意義をそう語る。万博を運営する日本国際博覧会協会からユニホームに採用されたのも、環境に配慮している点などが評価されたからだ。万博後はユニホームを新たなものに作りかえ、別のイベントで再利用することも計画している。
ユニホームの原料になったス…