物流の革新に関する関係閣僚会議に臨む石破茂首相(中央)=2025年3月14日午前7時51分、首相官邸、岩下毅撮影

 石破茂首相は14日、首相官邸で物流問題の関係閣僚会議を開き、トラック運転手の賃上げを後押しすることを指示した。担い手の不足による輸送力不足が危ぶまれており、2030年度までを「集中改革期間」と位置づけ、積み下ろしの待ち時間短縮といった商習慣の改善など構造的な問題に取り組むとしている。

 首相は「今後の人口減社会も見据えつつ、物流の常識を根本から革新していくための施策を迅速に講じてほしい」などと述べた。4月には改正物流総合効率化法が施行され、物流事業者や荷主に、荷物の積み下ろしの待ち時間短縮や積載効率の向上が努力義務となる。政府は28年度までに、トラック運転手1人当たりの荷待ちなどの時間を年125時間減らし、全国のトラックの5割で積載率を50%まで高めることなどを目指す。

 24年度からトラック運転手らに時間外労働の上限規制が設けられ、輸送力不足が生じる「2024年問題」が案じられた。国土交通省によると、物流施設の自動化を支援したことなどにより、現時点では物流の深刻な停滞は起きていないとする。

 政府は、対策を講じなければ30年度には輸送力が34%不足すると見込んでいる。首相が集中改革期間と位置づけたことを踏まえ、国交省は26~30年度の物流政策の道筋を示す次期「総合物流施策大綱」の策定を急ぐ構えだ。

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