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北条念仏踊の衣装をまとった踊り手たち=2025年3月29日午後8時10分、香川県坂出市大屋冨町、木野村隆宏撮影
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 讃岐の国司を務めた菅原道真にゆかりがあるとされ、千年以上前から香川県坂出市に伝わる「北条念仏踊(おどり)」が6日、約30年ぶりに復活する。県指定の無形民俗文化財だが、中心役の担い手がいなくなるなどして途絶えていた。復活の鍵となったのは、最後に奉納された約30年前の映像だった。

 それは、後に香川で「ヘイロク渇水」として記憶されることになる大渇水に苦しんだ1994(平成6)年8月の映像だ。道真による雨乞いの成就を喜んだ踊りとも伝わる北条念仏踊が、坂出市大屋冨(おおやぶ)町の公民館前で急きょ奉納された。

 「なむあみどうや」と節をつけて繰り返される念仏。下知(げんじ)と呼ばれる道真役は、陣羽織に雨笠をかぶり、大うちわを振るって舞う。百姓を表す鉦(かね)役らも軽快に跳びはねる。5人の踊り手が時に輪になり、列になり。舞い終えると住民ら観衆から拍手が起こった。

 北条念仏踊は、坂出市東部の旧松山村を中心に伝わり、雨乞い成就への感謝や道真の鎮魂を祈る踊りといわれる。かつては約300人が3日間にわたって滝宮天満宮(綾川町)などを巡行し、奉納していたという。だが、94年以降は担い手が継承できず、北条念仏踊保存会も休止状態になっていた。

きっかけ作った県教委職員、地元の若手にも声かけ

 復活のきっかけは2023年…

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