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清和政策研究会(旧安倍派)の政治資金パーティー=2019年5月、東京都港区

 自民党派閥からの寄付金約2千万円を政治資金収支報告書に記載しなかった疑いがあるとして、東京地検特捜部が、萩生田光一元政調会長の政策秘書の刑事責任を追及する方針を固めた。

 複数の関係者によると、特捜部は、秘書を政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で、非公開の書面審査で罰金を求める「略式起訴」する。手続きには秘書の同意が必要で、同意が得られなければ公開法廷での裁判を求める「正式起訴」に切り替える見通しだ。

「違法性を十分認識」検察審査会が指摘

 自民党最大派閥「清和政策研究会」(旧安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化した事件で、同派幹部だった萩生田氏の政策秘書は、同派から受け取った寄付金2290万円を収支報告書(2019~22年分)に記載しなかったとして告発された。

 秘書は24年に不起訴処分(起訴猶予)となり刑事責任は問われなかったが、東京第五検察審査会が今年6月「(政策秘書は)旧安倍派事務局からの指示を受けて虚偽記載を行ったという面はある」としつつ、「違法性を十分認識しながら萩生田氏に相談せず、旧安倍派からの指示に反対することもせず従った」と指摘。「起訴猶予を続ければいつまでも虚偽記載はなくならない」として、秘書を起訴すべきだと議決した。裏金事件で議員関係者に起訴相当の議決が出たのは初めてだった。

 特捜部は、議決や再捜査結果をふまえ秘書の不起訴処分を一転する方針。秘書はこれまでの調べに、虚偽記載を認めているという。

萩生田氏の説明も焦点

 特捜部は、萩生田氏の告発については不起訴(嫌疑不十分)とし、検審も不起訴が相当だと判断した。ただ、公費で雇用される政策秘書の刑事責任が問われた場合、萩生田氏が有権者らにどう説明するかも焦点になる。

 萩生田氏は旧安倍派中核「5人衆」の1人で、政府では文部科学相や経済産業相を、党では幹事長代行も歴任。7月の参院選の結果をふまえ、石破首相が責任を取るべきだと指摘する有力議員の一人。

 裏金事件では、大野泰正・元参院議員や谷川弥一・元衆院議員、池田佳隆・元衆院議員の現職国会議員3人を含めて計10人が立件された。正式起訴(公判請求)されたのは6人。安倍派関連が5人で、「志帥会」(二階派)の元会計責任者も正式起訴された。

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