晩夏の北海道の街中を歩いていると、紅葉の季節にはまだ早いのに、路上にイチョウの葉のようなものが落ちていることがある。
その正体はヤママユガ科の大型の蛾(ガ)「クスサン」。毒はないが、怪獣映画「モスラ」を連想させる見た目と、手のひら大(10センチ超)という存在感、目玉模様の羽などから「気持ち悪い」と困惑する人も少なくない。
今季の道内の発生状況を、専門家に聞いた。
ガの写真が続きます。虫が苦手な方はご注意ください。
1日夜、札幌駅周辺。
ある大型店舗の入り口付近では、明るい光に吸い寄せられたクスサンが10匹ほど飛び回っていた。
出てきた客は「ぎゃーっ」「無理無理無理……」と絶叫。一部は店内に侵入しており、虫とり網で捕獲した数匹を店員が屋外へ放つ場面もあった。
同日、繁華街・ススキノ周辺でも、外灯やネオン看板のあちこちに群がっていた。
ただ、北海道立総合研究機構・林業試験場(美唄市)の研究員・内田葉子さん(環境科学)は冷静だ。
「例年よりやや多めではあるものの、『大発生』と呼ぶほどの状況ではなさそうです」
食害で「丸裸の木」市街地での報告は届かず
クスサンは8月下旬から9月上旬に羽化のピークを迎える。
幼虫の時期(5月~7月ごろ)には、ウダイカンバやクリ、クルミ、トチなどの木の葉を食べ、大発生すると食害で木が「丸裸」になることもある。それが3~4年続くと木が衰弱し、枯死した事例も確認されている。
内田さんによると、今季は笘…