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将軍家などへの贈り物として作られた最高級磁器の「鍋島」=大阪歴史博物館
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 オフィスビルがひしめく大阪市の中之島・堂島地区。ここは江戸時代、諸藩の蔵屋敷が立ち並ぶ経済と情報ネットワークの中心だった。「天下の台所」と呼ばれた近世商都の心臓部を出土品などでたどる特別企画展「発掘!大名たちの蔵屋敷」が、大阪歴史博物館(中央区)で開催中だ。

 蔵屋敷とは、年貢米や各地の特産品を売りさばくために諸藩が設けた施設で、いまで言えば都道府県の大阪事務所みたいなもの。水辺に120もの蔵屋敷が軒を連ねた中之島一帯は、まさに「市場経済が発達する原動力」(大阪市文化財協会の南秀雄さん)として活発な経済活動を展開した。世界初の先物取引の舞台でも知られる。

 蔵屋敷には大勢の藩士が詰めて情報収集や発信にあたり、対外関係構築の拠点にもなったようで、発掘のメスを入れればそれを物語る遺物が次々と現れる。

 たとえば、佐賀藩蔵屋敷跡で…

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