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【大盤解説中継】佐藤天彦九段が解説、誰が勝っても初優勝の朝日杯 佐々木勇気八段-近藤誠也八段、服部慎一郎七段-井田明宏五段【第18回朝日杯将棋オープン戦】

 今、最も注目を集める棋士と言っていいだろう。「忍者」のニックネームがある服部慎一郎七段(25)は今期、年度勝率9割(36勝4敗、10日現在)と勝ちまくっている。半世紀以上前の1967年度、中原誠十六世名人(77)が記録した史上最高勝率を超える期待が寄せられている。1月、藤井聡太名人・竜王(22)との初手合で勝利を収め、今月5日には順位戦B級2組で昇級を決めた。11日、東京・有楽町朝日ホールで第18回朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)で初の全棋士参加棋戦優勝に挑んでいる。

 楽しい。

 服部慎一郎に話を聞いていると、わりと多めの頻度で発せられる言葉がある。

 「楽しい」「楽しむ」。

写真・図版
高校時代、友人とコンビを組んで路上漫才も行った服部慎一郎七段。昨年、冨田誠也五段との「もぐら兄弟」でM-1グランプリに参戦。「人生でいちばん緊張した2分間だった」1回戦で敗退したが「人生を豊かにすることにはこれからも挑戦したいです」=2025年2月6日午後3時8分、大阪府高槻市、北野新太撮影

 顔をニコニコさせたまま、眼鏡の奥の瞳をきらきらと輝かせて。

 こちらも思わずうれしくなってしまうような空気を漂わせながら。

 2月6日午後、大阪府高槻市内に移転した真新しい関西将棋会館の一室。

 10局指せば9局勝ってしまう驚異の25歳は、屈託の無い声で言うのだ。

 「小さい頃から変わってない気がします。将棋が好きなんです。指していて楽しいから。もう15年くらい経ちますけど、始めた頃から変わってないような気がします。当然、奨励会(棋士養成機関)に入って、棋士になると勝たなければならない気持ちに変化してくるんですけど、根本にあるのは、楽しい、という気持ちなんです。将棋を嫌いになったことはないです」

 大一番さえも、どこか楽しい…

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