将棋の藤井聡太棋聖(22)=名人・竜王・王位・王座・棋王・王将と合わせ七冠=が杉本和陽(かずお)六段(33)の挑戦を受ける第96期棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催)が3日、栃木県日光市で開幕する。
前期、棋聖獲得5期で「永世棋聖」称号の資格を得た藤井棋聖は6連覇を、タイトル戦初登場の杉本六段は初の頂点を目指す。両者は2日、第1局の対局場となる同市の日光金谷ホテルに入って対局室の検分や会見に臨み、前夜祭に出席した。
前夜祭であいさつする藤井聡太棋聖と杉本和陽六段
藤井棋聖は2日制、持ち時間各9時間の名人戦七番勝負で永瀬拓矢九段(32)と激闘を繰り広げ、先月30日に防衛3連覇を果たしたばかり。中3日で1日制、持ち時間各4時間の勝負に臨むことになる。
また、杉本六段は振り飛車党で、居飛車党の永瀬九段との対局とは全く異なる戦いになる。舞台設定の変化に即応できるかどうかが鍵を握りそうだ。
会見で藤井棋聖は「振り飛車党の方とのタイトル戦も、杉本六段との公式戦も久しぶりなので非常に新鮮なシリーズになります。やってみないと分からないところがあると思うので、しっかり読みを入れていい手を見つけたい」と抱負を述べた。
対する杉本六段は初の晴れ舞台となる。2017年、年齢制限(26歳)に近づく25歳で棋士になってから最大の大勝負に臨むことになる。昭和棋界を彩った大棋士の故・米長邦雄永世棋聖(12年死去)の最後の弟子。偉大な師匠が初タイトルを獲得し、唯一の永世称号を得た縁のある棋戦で七冠に挑戦する。
杉本六段は初々しい表情でマイクの前へ。「検分で藤井棋聖と盤を挟み、画面越しではない雰囲気を感じ取り、戦う気持ちが高まってきた。隙が見当たらない最強の相手。自分がいかに食らいついていけるかがポイントになります。序盤の戦略、終盤の粘り強さ。自分の持ち味を発揮できる展開になれば面白いかなと」。第1局では、亡き師匠が現役時代に着用した和服に袖を通す。「師匠のパワーを少し感じられたら」
棋聖戦は今期から優勝賞金が4千万円まで大幅増額されたことも話題を集めている。