(第77回春季関東地区高校野球大会1回戦、藤代〈茨城〉2―4帝京三〈山梨〉)
打席では前に立った。
へりくつはいらない。来た球をフルスイングする――。
3点リードを許した七回表2死一、三塁。藤代の石岡遼清(りょうせい)(3年)は、初球のインコースに来た変化球を振り抜いた。真芯でとらえた。打球は左翼手の前に飛び適時打となった。一塁上でほっとして笑みがこぼれた。
「今までチームに迷惑をかけてきた。流れを呼び込みたかった」
菊地一郎監督は「チームで一番打撃センスがある」と評するが、春の県大会は12打数2安打0打点。調子が上がらず、水城との3位決定戦はベンチだった。勝てたうれしさはあったが、心の中に悔しさも残った。
そんな気持ちで臨んだ関東大会は開会式直後の試合。緊張もあり、チームは先制を許した。七回の前、菊地監督から助言をもらった。相手投手は序盤に四球が多かったが、持ち直した。「初球から積極的に振っていかないと勝てないよ」と言われ、左前適時打につなげた。
九回、自分の前の打席でゲームセットとなった。「勝てた試合。自分も1打席目からもっともっと積極的に振っていれば。悔しい」と話す一方、「打線がつながり、勝てるチームに成長していきたい」。この悔しさは夏にはらすつもりだ。