将棋の藤本渚五段(19)は5日、東京都渋谷区の将棋会館での第83期C級1組順位戦3回戦・片上大輔七段(42)戦に臨んでいる。7月下旬、オンラインイベント「記者サロン」で語った言葉から、現役最年少棋士の人柄と将棋観について考えた。
8月5日夜、東京・将棋会館「特別対局室」。
第83期C級1組順位戦3回戦。
夕食休憩が明け、夜戦へ。
藤本は盤に向かっている。
深く頭を下げた状態のまま両目を閉じ、考慮に沈むことを繰り返している。
脳裏に描いた海の中を潜り、最善手を探査し、発見しようとしている。
そんなことを想像する。
藤本は小学生の頃からミスター・チルドレンを好んで聴いてきた。
好きなアルバムを尋ねると「深海」と即答した。
絶頂期にあった1996年に4人組バンドが発表した作品は、内省的で陰鬱(いんうつ)な空気感を秘めた楽曲が並ぶコンセプトアルバムである。
なぜ、あの28年も前の作品を好むのだろうか。
7月下旬、会社に招いて行ったオンライントークイベント「記者サロン」で尋ねた。
彼は自らの将棋観と重ねながら答えを明かしてくれた。
記者サロン「「AIの言いなりにはならない」将棋の現役最年少棋士・藤本渚の矜恃」
藤本渚五段はAIは潜水艦のようなもの、と言う。人間の力で難解な局面に向き合うとき「深海にダイブしていく感覚になる」という現役最年少棋士の矜恃とは。――こちらの「記者サロン」や、記事後半で。
藤本渚、19歳…