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東京都板橋区に住む大学院生の女性は、「私以上にひどい人、私みたいな人が大勢東京にはいるんです」と話す=2024年6月27日午後4時7分、東京都、小川聡仁撮影
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 「生まれで、私の人生の選択肢は狭まった」。東京都内の大学院に通う女性(23)は、そう思いながら生きてきた。

 母は、父から暴力を振るわれていた。幼少期に離婚し、父は家を出た。収入が減り、小学校の時は靴底がはがれるまで同じ靴を履いた。空腹のあまり、コンビニでパンを万引きしたこともある。

 「目が奥二重なところが、あの人に似ている」「お前のせいで死にたい」。境界性人格障害と診断されていた母は、そんな理由で何度も暴力を振るい、泣き続けた。鎖骨が折れたことも。児童養護施設と実家を行き来した。

 自分のような子どもを減らしたい。そう考え、中学時代から弁護士を目指している。

 だが、学業の道にも、困難がつきまとった。

 飲食店のアルバイトで生活費を稼ぎ、2020年から大学に通うが、コロナ禍で収入は急減。パンやご飯にサラダ油や砂糖をかけて食べ、空腹をしのいだ。

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