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 SNSでの虚偽情報の拡散が問題になった昨年11月の兵庫県知事選をめぐり、X(旧ツイッター)の情報の正確さを高める仕組み「コミュニティノート」が、ほとんど機能しなかったことがわかった。調査にあたった専門家は「偽情報や誤情報への対策の根本的な見直しが必要」と指摘する。

 コミュニティノートは誤解を招く恐れがある投稿に対して、背景となる情報を注釈のようにユーザーが書き込む機能。米国で2021年から、日本語版では23年7月から本格導入された。

 過去のノートでは、昨年の能登半島地震で「人工地震だ」という趣旨の投稿を否定したり、「ビワの種子はがんに効く」という投稿に「科学的根拠がない」と指摘したりした事例がある。

 ノートは「協力者」といわれるユーザーが作成し、他の協力者が「役に立つ」と評価すれば、一般公開される。協力者には一定の要件を満たせばなれるが、応募が多い場合は無作為に選抜されるとXは説明している。Xは昨年3月、日本語版の協力者が約3万人いることを明らかにしている。

 協力者でもある早稲田大の瀬川至朗教授(ジャーナリズム論)が兵庫県知事選関連のノートを分析した。斎藤元彦知事が失職した昨年9月末から投開票日の11月17日午後8時までに作成された日本語のノートから、キーワード検索と目視で、知事選に関わる168件を抽出した。

 このうち一般ユーザーに公開されたのはわずか9件だった。さらに9件のうち7件は数時間など一時的にしか公開されず、期間終了まで公開されたのはわずか2件だけだった。作成件数に公開件数が占める割合を意味する公開率(一時公開も含む)は5.4%にとどまった。

 一方、同時期のノート全体では、1万4566件のうち一時公開も含めて2460件が公開され、公開率は16.9%だった。同知事選をめぐるノートの公開率の低さが際立つ結果となった。

 Xの規定や説明によると、単純な多数決ではなく、多様な視点を持つ多数の協力者が「役に立つ」と評価しないと公開されない。

「役に立つ」2倍近くでも公開されず

 「政治的な話題は対立が先鋭…

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