1980年代のフジテレビの番組で活躍した(左から)明石家さんま、タモリ、ビートたけし

連載 「楽しい」テレビ(中)

 「いつの時代もテレビの歴史を変えるのはお笑いである」

 そんな「定説」を唱えたのは、フジテレビ黄金期の深夜枠でカルト的人気を誇った「カノッサの屈辱」(1990~91年)だった。トレンドの盛衰などニッチな消費文化史を世界史の講義風にひもとき、「知的パロディー番組」と呼ばれた。

 「テレビ全史」と題した最終回では、西洋史の覇権争いに見立てて各局の視聴率競争を描いた。「シャボン朝ペルシア」(日本テレビ)や「ドリフランク王国」(TBS)を追い抜き、80年代に頂点に立つ「大英ト帝国」(フジ)――。

 番組はその戦略を「重笑主義政策」と名付け、笑いによる改革が、ドラマや報道など他ジャンルにも波及していくとまとめた。

  • 連載(上) 80年代のフジは「文化」の堕落だったか マイクを開放したテレビ史

 81年、フジの「オレたちひょうきん族」は、土曜夜8時という激戦区に、打倒「全員集合」の旗印を掲げて誕生した。

作り込みよりハプニングを重視

 70年代を通じて不動の人気を誇ったザ・ドリフターズの「8時だョ!全員集合」(TBS)は、台本からリハーサルまで周到な準備を重ねて作り込んだ笑いを披露。これに対し、ビートたけしや明石家さんまを擁する「ひょうきん族」は、収録中のアドリブやハプニングを重視した。

 ディレクターだった三宅恵介…

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