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記者発表する鹿児島大学病院長の石塚賢治教授(中央)ら=2025年6月6日午後2時8分、鹿児島大学病院、宮田富士男撮影

 鹿児島大医学部などのグループが6日、九州に多い血液のがん「成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)」の高齢者向け標準治療を確立したと発表した。臨床試験で症状が悪化せずに1年後も生存している(1年無増悪生存)割合が3割を超え、既存の治療法を大きく上回った。

 ATLは、「ヒトT細胞白血病ウイルス1型」(HTLV―1)感染者の3~5%が発症するとされる。70歳以下の患者には造血幹細胞移植が有効だが、体の負担が大きいため高齢者には向かないとされる。このため鹿児島大と名古屋市立大、九州がんセンターが共同で高齢者向け治療法の確立をめざしていた。

 有効性が確認されたのは、「モガムリズマブ併用CHOP療法」と呼ぶ療法で、抗がん剤などを使う療法と、モガムリズマブという薬の投与をあわせて行う。

 67~86歳の患者48人を対象にした試験で、1年無増悪生存割合は36.2%。生存期間の中央値は1.6年だった。

 研究代表者で鹿児島大学病院長の石塚賢治教授は「ATLは鹿児島に多い病気であり、地域の問題解決のためにも取り組んだ」と話した。

 研究の成果は、アメリカの血液学雑誌「Blood」から5月15日付でプレリリースされた。

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