参院選の結果を受けて、衆参両院で与党が過半数を持たない異例の国会が始まった。与党は自力で予算を通すこともできず、野党の協力相手も見つからない。この先、何も決まらない国会に陥るのか。それとも新しい政治システムが始まるのか。「衆参少数与党の国会」について、神奈川大の大川千寿教授(政治過程論)に聞いた。

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 ――この現状をどう見ていますか。

 ある意味では良かったと言える。日本社会は価値観が多元化し、多様性に満ちている。参院選の結果、いっそう多党化が進み、様々な価値観が広がる社会の流れを反映する形になった。

 政権運営が不安定になり、政策遂行の見通しが立ちづらいというデメリットばかりに注目が集まるが、必ずしも悪いことばかりではない。

 ――参院選で大敗した石破茂首相は責任を取らないまま続投し、党内には「石破おろし」がくすぶります。不安定な状況の政権に何ができるのでしょうか。

 確かに石破首相の求心力が低下している。しかし、誰が首相を務めたとしても「火中の栗」を拾うことになり、政権運営は非常に難しい。逆説的だが、こうした複雑な状況に石破氏は支えられている。

 野党と組んで連立拡大という話は出てくるが、自公両党だけではやっていけず、どこかと組んでも安定するかどうかが分からない状況は当面続くだろう。今回の参院選で突きつけられた政治不信に正面から向き合うことが必要だ。

野党にも問われる覚悟

 ――一方、多党化した野党に…

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