コロナ禍をはさんで5年半ぶりに上海を訪ねた。新型肺炎SARS禍の2003年春、初めて特派員として赴任した思い出深い街だ。今回は、モーターショーを取材するため東京で報道ビザを得て出かけた。
空港のパスポートコントロールで記者と分かると、係員に少し離れたカウンターに誘導された。目的や宿泊先など細かな質問が続く。数え切れないほど訪れた地なのに、初めての経験だ。15分ほどだったか。対応は丁寧だったが、無事に入国できるまで緊張で体はこわばっていた。
中国政府は昨年11月から日本人にも一般的には「ノービザ」で30日間の滞在を認めた。ビジネスや観光、民間交流の往来は増えつつある。一方で、メディアに対する警戒は緩めていないことを実感した。
中国の国家安全を最重視する政策のもと、中国を研究する専門家もまた、「苦しさや困難」に直面している。5月に公表された「日本版中国研究者調査2025」(研究代表者・伊藤亜聖・東京大学准教授)がその断面を明らかにした。
大学や民間研究機関など57…