不正融資問題について会見するいわき信用組合の本多洋八理事長=2025年5月30日午後6時46分、福島県いわき市、西岡臣撮影

 いわき信用組合(いわ信=福島県いわき市)は、中小企業や個人らへ主に少額の融資をし、担当者が取引のある事業所や預金者宅をこまめに回って「街の便利な金融機関」として信頼を得てきた。

 市内で会社を経営する70代の男性は「頼んでおいたら小口でも預金を下ろして持ってきてくれた。融資でも、銀行は稟議(りんぎ)に時間がかかるから、ぱっとつなぎを得るのに便利だった。担当者が景気に関する街の細かい話も知っていて、情報収集にも役立った」と話す。

 同市は、2011年の東日本大震災で津波の被害に見舞われ、関連死なども含め400人以上が亡くなった。東京電力福島第一原発事故の影響も受けた。市内の一部に政府が自主避難を要請したこともあり、一時は数万人が市外や県外へ避難した。一方、原発が立地する隣の双葉郡から約2万4千人が市内へ避難してきた。今も双葉郡の住民約1万5千人が市内で暮らす。

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