かんぽ生命保険の不正販売を報じた番組を巡り、NHK経営委員会が会長を異例の厳重注意とした問題の議事録が、訴訟の和解によって、公開されることになった。「視聴者の代表としてNHKの業務執行をチェックすべき経営委が、逆に視聴者の利益に反することを行った」――。原告側は経営委のあり方について、問題提起をした。
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問題の発端は、日本郵政グループが取材手法などを巡って抗議した際、番組責任者の「会長は制作に関与しない」との発言をとらえて、経営委に執行部のガバナンスの検証を求めたことだ。放送法上、NHK会長はNHKの業務を「総理する」と定められていて、番組にも責任を持つ。ただし、個別の番組には関わらないのが実態だ。
18年10月9日の経営委で、石原進委員長(当時)が「郵政には、昔の郵政省の放送に詳しい方がいらっしゃる」とし、抗議した鈴木康雄・日本郵政上級副社長(同)が元総務事務次官だと示唆。半月前には鈴木氏と森下氏が面会していたことも、国会答弁などで明らかになっている。
執行部の対応について、監査委員からは「ガバナンス上の瑕疵(かし)があったとは認められない」と報告があった。だが厳重注意をした同10月23日の経営委では、森下氏が「極めて稚拙」などと取材手法を批判し、それに対し、上田氏はこの議論が表に出れば「(NHKは)存亡の危機に立たされるようなことになりかねない」と述べていた。
厳重注意の経緯は、朝日新聞などの取材で判明した。経営委は「非公表を前提に議論した」と説明し、議事録の公開を拒み続けたが、NHK自身が設ける第三者機関「情報公開・個人情報保護審議委員会」が全面開示すべきだという答申を2度出したことを受け、全面開示した。
解決金や訴訟費用については、NHKが肩代わりせず、森下氏が個人で負担するという。経営委議事録を出すかどうか、決定するのは経営委の裁量だった。あるNHK幹部は、「執行部側ではどうにもならない。訴訟そのものが経営委と森下氏の問題だ」という認識で、執行部側と森下氏側の溝が浮き彫りになった。
原告側は、NHK経営委の番…