声の教育社社長の後藤和浩さん。学習塾講師として社会や国語を教えた後、30歳で入社。昨年8月、社長に就いた。編集に関わる社員は約30人で、多くが教員や塾講師を経験する。入社試験は中学や高校の最難関入試問題を模した内容で、ほぼ満点を取らないと採用されないという。店頭に並ぶ過去問題集は中学と高校を合わせ500校を超える=2025年6月16日午前10時13分、東京都新宿区、前田伸也撮影

 近年、中学受験の社会科は、知識に頼らない思考力が問われ、解答では表現力が試されるようになりました。元学習塾講師で、中学や高校受験の過去問題集を出版する声の教育社(東京都)の後藤和浩社長は、「答えが一つではないのが特徴」といいます。どのように向き合えばいいのでしょうか。2024年度の開智中学校(埼玉県)の社会の入試問題を題材に、解き方を解説してもらいました。

 米国の病院で近年、ビデオ通話アプリによって、インドの企業や病院と連携して、オンライン診断が盛んに行われていることを取り上げています。なぜ、米国の病院が、他国ではなく、インドと連携するのか。世界地図やインドの歴史を示した年表を参考に説明する問いです。

 事前の知識はほとんど必要なく、与えられた情報から思考力を使い、最終的に自分で考えた文章で表現する、まさに現代的な問題と言えます。開智中の社会の問題は、全体的に知識よりも問いで与えられた内容を読み解くものが多いです。

 この問題では、米国とインドという国と国とのつながりをテーマにしています。受験生が視野を広く持つことができるかを試しています。さらにインドの歴史を多面的に見る力を問うています。

 まずは、与えられた条件をすべて活用することがポイントです。いきなり答えを探そうとしないでください。浅い解答になってしまいます。

 4段階で見ていきましょう。

 ①はビデオ通話アプリの即時…

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