神戸市中央区のマンションで20日夜、住人の女性が殺害された事件で、女性が退社直後に勤務先付近から男に後をつけられ、自宅マンションまで約50分間、約4キロにわたって尾行されていたことが、捜査関係者への取材でわかった。
複数の防犯カメラの映像などから、男の姿は立ち寄り先でも確認され、同じ電車にも乗っていたとみられるという。
兵庫県警は、この男が殺人容疑で逮捕した会社員の谷本将志容疑者(35)=東京都新宿区高田馬場3丁目=とみている。女性について「全く知らない人です」と供述しており、女性が狙われた経緯を調べている。
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谷本容疑者の逮捕容疑は20日午後7時20分ごろ、神戸市中央区のマンション内で、住人の会社員、片山恵さん(24)の上半身を刃物のようなもので数回刺し、殺害したというもの。片山さんの死因は胸部を刺されたことによる失血死で、傷は肺まで達していた。
谷本容疑者は刺したことは認めているが、「殺意を持っていたかはわかりません」と供述したという。
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捜査関係者らによると、片山さんは事件当日の午後6時半ごろ、神戸市中央区内の勤務先を出て、近くの郵便局で仕事関連の内容証明郵便を提出。阪神電鉄西元町駅から神戸三宮駅に移動した後、スーパーに立ち寄った。その後、三宮駅からポートライナーに乗り、自宅最寄りの貿易センター駅で降りた後、歩いて自宅に向かったという。
葺合(ふきあい)署捜査本部は、片山さんのこうした退社後の足取りを、複数の防犯カメラ映像などで把握。帰宅までの約50分間にわたり、谷本容疑者に似た男に後をつけられている様子も確認したという。
捜査関係者によると、谷本容疑者と片山さんの明確な接点は、これまでの捜査でも確認されておらず、捜査本部は、片山さんが一方的に狙われたとの見方を強めている。
一方、谷本容疑者は事件の3日前の17日から、神戸市中央区内のホテルに滞在していたという。捜査本部は、事件前後の谷本容疑者の足取りも調べている。
谷本容疑者は22日午後、警視庁の捜査員が東京都奥多摩町内の路上で身柄を確保し、逮捕していた。抵抗する様子だったといい、名前を聞いても「なんで名前を言わないといけないのか」と繰り返し、逃走も試みたという。