「初めまして☆友人のご紹介であなたを知りました! とても魅力的な方だと感じて、ぜひ仲良くしてください」
平日の夜、記者(59)の「フェイスブック」に知らない日本人女性名のメッセージが届いた。「普段はグルメや旅行、ゴルフが好きです。Todaさんは普段どんな趣味がありますか?」
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ぎこちない言葉づかいで矢継ぎ早に質問を繰り出す。
「音楽を聴いてます。今はポリーニのCDを聴き返しています」。スマホから返信すると、「私も波利ニの音楽、特に《第一ピアノソナタ》が大好きです。機会があれば一緒に聴きたいですね」と話を合わせてきた。
今年3月亡くなったマウリツィオ・ポリーニは姓を中国語で表記すると「波利尼」。偉大なピアニストだが、作曲家ではない。不自然な言い方だった。「LINE(の連絡先)を交換しましょう」という誘いを断ると連絡は絶えた。
おそらくこうした不審なメッセージは、連日連夜ネット空間のあちこちで飛び交っていることだろう。今回はすぐ怪しさが露見したものの、巧妙な話術を操る相手ならどうなっていただろうか。手の中のスマホに勝手に侵入されたような嫌な感触が残った。
おせっかいが世界を変える、かも
SNSや自動音声電話などを入り口に、恋愛や投資を誘ったり料金未納の連絡を装ったりして、多いときは数千万円に及ぶ財産をだまし取る詐欺事件が後を絶たない。被害者は若者から高齢者まで幅広い。将来のための蓄えや、老後の備えをだまし取られた彼ら彼女らの心境は、想像するに余りある。
「同じ手口でだまされる人が…