元日の能登半島地震で被災した窯を立て直し、石川県の珠洲地方伝統の珠洲焼を続けている陶芸家が千葉県にいる。八千代市在住の陶芸家鈴木吉彦さん(77)。手がける作品は、焼き物では珍しい灰黒色が独特の風合いを醸し出す。15日、南房総市岩糸のギャラリー&スペースMOMOで作品展を始め、震災に負けない姿を見せている。
珠洲焼は、12世紀後半(平安時代)から15世紀(室町時代)にかけ、珠洲地方で作られていたが、急速に衰えて廃絶した。よみがえったのは1970年代だった。独特の焼き物であることがわかり「珠洲焼」と呼ばれるようになって、復興した。
鈴木さんや関係者によると、特徴は鉄分の多い珠洲の土。釉薬(ゆうやく)を使わず高温で焼き上げるため、この灰黒色が生まれる。釉薬を使わないため、土がむき出しに焼かれ、微細な穴ができる。そのため、ビールをつぐと泡がきめ細かくなり、おいしく感じられる。水を新鮮に保つ効果もあるとみられ、花器ならば花が長持ちするという。
「この黒だと思った」
鈴木さんが珠洲焼に出会った…