避難指示が解除され、住民が住み始めて2年が経った福島県双葉町で、約1万発を打ち上げる花火大会が28日開かれる。企画したのは東日本大震災後、浜通り地方の被災地で鎮魂の花火を上げ続けてきた須賀川市の花火師の男性だ。
「双葉花火」と名付けた大会は28日午後6時から、双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館周辺で開かれる。県内の花火製造、販売会社11社が加盟する福島煙火協会主催。この規模の大会が同町で開かれるのは、避難指示の解除後初めてだ。
- 居住人口の半数超が暮らす町営住宅 ゼロからの町づくりと未来の不安
企画したのは、須賀川市の花火師糸井秀一さん(44)。創業150年超の花火製造会社の6代目で、「須賀川市釈迦堂川花火大会」など県内外の100カ所の大会で年間5万発以上の花火を打ち上げている。
大学卒業後、職人になった糸井さんは、「花火は見る人に喜んでもらうもの」と考えていた。でも、震災で変わった。
直後の2011年夏、南相馬市の住民から「鎮魂の花火を上げてほしい」と依頼を受けた。訪れると、家などが津波で流され、がれきが広がっていた。多くの人が亡くなった地区だった。
「ここで花火を上げていいの…