東日本大震災で甚大な被害を受けた直後の岩手県大槌町に来て、通算13年間、教育のあるべき姿を追い続けた町教育専門官・菅野祐太さん(37)が4月から文部科学省の官僚になる。23日、退任前に町民ら約100人の前での最終講義で「教育は地域をつくる」と熱弁した菅野さんは、新たな挑戦を心に秘めている。
2011年3月の震災発生時、菅野さんは東京のリクルート社に入ってまだ2年足らずで、営業成績を上げることに熱中していた頃だった。
もともと数年勤めた後、教師になろうと思っていた菅野さんは、休職してNPOのカタリバ(東京)のスタッフとして、被災した子の居場所づくりを始めた。
12月には勉強の場「大槌臨学舎」のプレハブ校舎が建ち、菅野さんは後に校舎長となった。夜、家の土台しかない町に校舎から光がもれていた。「多くの住民から希望のあかりだと言われた」。菅野さんは講義で当時を振り返った。
休職期間を終え、会社に戻っ…