被災地にかつてあった風景、土地の記憶を、語り言葉で記録できないか――。能登半島地震の被災者から聞き取った物語を朗読する「のとがたり」が30日、金沢市で催される。舞台芸術が非常時にできることを考え、実践する「国境なき劇団」の取り組みだ。
地震発生から1年3カ月近く経った石川県能登半島では、ようやくがれきの撤去が進んだ一方、更地が目立ってきた。その土地に暮らしていた人々の日常、風習、文化などなかったかのように。人口も流出していく。
ある土地に住む人へインタビューし、人物や地域が見えてくる物語をつくる取り組みがある。宮崎県に拠点を置く、劇団こふく劇場の永山智行代表が、東日本大震災で被災した福島県いわき市などで実施している。
国境なき劇団が、能登でも同様にやってみることにした。金沢市を拠点とする俳優たちが、輪島市や珠洲市の出身者ら奥能登に縁のある人たちに1時間ほど聞き取りする。書き起こした話を10分の戯曲にまとめ、声に出して実演する。
国境なき劇団は2021年に…