いわき信組の架空融資について振り返る元職員=2025年4月16日、福島県いわき市、金居達朗撮影(画像にぼかしを入れています)

 東日本大震災の復興支援の公的資金は、不正な融資を隠すために利用されていたのか。架空融資が指摘されるいわき信用組合(福島県)で、新たな疑いが浮上した。被災地の信組の内部で何が行われ、なぜ見抜かれなかったのか。

 「もう切り替えなくていい。償却する」。いわき信組の支店で架空融資の手続きをしていた元職員の男性は、2013年に本店の担当者からこう言われたと証言する。

 男性は驚いた。架空融資の手形の延長をやめ、回収不能として償却する――。それはつまり、「架空融資を消せ」という指示だと受け取った。男性は指示通り、14年3月までに3件の償却書類を作ったという。

 男性が実行していた架空融資の手続きは、毎月3~4件、半年で20~25件ほどだった。半年ごとに手形の切り替え処理をして架空融資を継続させてきたが、償却を指示されたのはこの時だけだったという。

識者は「信じられない」

 いわき信組は12年1月、東…

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