長崎原爆に遭ったものの、国が定めた一定の区域の外にいたとして被爆者と認められていない「被爆体験者」の原告44人が、長崎市や長崎県に被爆者健康手帳の交付などを求めた訴訟の判決が9日午後、長崎地裁で言い渡される。司法はどう判断するのか。争点を改めて整理した。
- 【そもそも解説】被爆体験者とは? 置き去りにされた長崎の被爆者
「被爆体験者は被爆者です!」。判決を前に、岩永千代子さん(88)たち原告や支援者は、長崎市内などで、こう書かれたビラを配って救済の実現を呼びかけている。
訴訟で問われているのは、旧長崎市などの行政区画に合わせて国が線引きをした被爆地域の合理性の有無だ。
国は原爆に遭った人を救済するため、一定の区域(旧長崎市の爆心地から南北それぞれ約12キロ、東西約7キロ)で被爆した人などに手帳を交付している。爆心地から南に12キロの場所で原爆に遭った人は被爆者と認められる一方、東に12キロの地点で原爆に遭った人は認められない。
区域の外側とされた被爆体験…