被爆80年に合わせて、被爆者団体の長崎原爆被災者協議会が被爆者80人分のメッセージ動画を完成させた。核廃絶への思いを海外に向けて発信する取り組みとして、ユーチューブで公開している。撮影や編集を主に担ったのは、長崎で長年被爆者を取材してきた元テレビ記者だった。
「原爆にあったことについて、いまどういう風に思っていますか」
今年4月、長崎市の老人ホーム。被爆者にビデオカメラを向けて、男性が質問を重ねていた。1時間近く撮影した証言動画は、6分ほどに編集し、ユーチューブに公開された。「いま、そこらへんに落ちたらどうします」という被爆者からのメッセージで締めくくられた。
撮影・編集に携わった男性は、元NHK記者の畠山博幸さん(64)。被災協は、被爆体験を国内外に知ってもらおうと、被爆者の証言を集め、昨年1月から英語の字幕もつけて公開しており、今月8日に80人目がアップされた。畠山さんは、この取り組みをボランティアで支えてきた。
秋田県出身。大学卒業後、1984年にNHKに入局。記者として仙台や東京などで勤務し、記者の原稿を監修するデスクを経験した。2006年、現場の記者として長崎に赴任した。それまで、原爆報道に携わったことはなかった。
初めて聞いた被爆者の証言
取材の参考にしようと、局内…