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四宮啓・国学院大名誉教授=2024年5月14日、東京都千代田区、米田優人撮影

 市民が刑事裁判の審理に参加する裁判員裁判が、5月で導入から15年を迎えました。制度の設計に関わった四宮啓(しのみやさとる)・国学院大名誉教授に、制度の現在地を聞きました。

  • 裁判員制度開始から15年、9.2万人参加 裁判員休暇の導入が課題
  • 「否認事件」では平均13.5カ月に 長期化する公判前整理手続き

――制度の現状をどうみていますか

 裁判員裁判が開かれるたびにニュースになる。そんな導入当初の光景は変わり、開催自体は話題にならなくなりました。制度が日常化しつつあるのであれば歓迎すべきですが、国民から忘れられつつあるとも感じます。

 怖いのは、運営に関わる法曹界が、制度が安定したから「何もしなくていい」と捉えてはいないか、という点です。特に、プロの裁判官の慣れを「安定」だと考えてしまうと、後退につながりかねません。

――具体的にどんな点が気になりますか

「裁判官による意見の誘導」恒常的に 10代は積極的?

 例えば、裁判員経験者のアン…

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