地下鉄八事駅前で辻立ちする水野良彦氏=2024年10月9日午前7時30分、名古屋市昭和区、野口駿撮影

 「どうやったら、失われた政治への信頼を回復できますか」

 衆院が解散した9日、自民党公認で立候補予定者の水野良彦氏(50)=愛知3区=は、地元・八事(名古屋市昭和区)の商店主らに自ら切り出した。返ってきたのは、厳しい言葉だった。

 「どなたが政治をやっても同じではと思ってしまう」「庶民の目線からずれている。カネのためじゃなくて、自分たちと同じ感覚で物事を進めて欲しい」

 水野氏は「政治への期待感のなさに、池田さんの事件が決定打を与えてしまった」と危機感を募らせる。

前任者は国会議員で唯一逮捕

 この愛知3区(名古屋市天白区、昭和区など)は今年、「政治とカネ」を巡る震源地となった。

 愛知3区支部長だった自民の池田佳隆前衆院議員=比例東海=が1月、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで東京地検特捜部に逮捕、その後起訴された。政治資金収支報告書への不記載額は4千万円超で、派閥の中で2番目に多く、証拠隠滅の疑いから国会議員では唯一の逮捕者となった。

 逮捕当日に池田氏は党から除名され、県連は公募で後任選びを進め、水野氏に白羽の矢が立った。

 名古屋市出身で、東大法学部卒業後、キャリア官僚として現在の経済産業省に入り、内閣府参事官などを務めた水野氏。「輝かしいキャリア」(陣営関係者)の持ち主だが、地元での知名度はない。

 さらに、愛知3区には政治不信が渦巻く。

 除名後も議員を続けながら…

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