地盤沈下が著しい自民党内で、次の総裁選に向けて2人の元総裁の間を行きつ戻りつ。還暦を過ぎた「異端児」河野太郎デジタル相(61)は、いまどこにいるのか。
派閥の裏金事件を受け、岸田文雄首相(66)が衆院政治倫理審査会(政倫審)への出席を表明した2月28日の夜。河野氏は東京都内の中華料理店で、首相と距離のある菅義偉前首相(75)、小泉進次郎元環境相(42)とテーブルを囲んでいた。神奈川が地盤の3人がそろって顔を合わせるのは数年ぶり。自らの後見人でもある菅氏を前に、河野氏は裏金事件に対応する首相ら党執行部への不満を口にした。「処分が遅い。不記載議員の処分を急ぐべきだ」
その少し前の2月9日には、東京・六本木のイタリア料理店で、自身が所属する麻生派会長の麻生太郎副総裁(83)に同様の考えを伝えていた。「不記載議員の処分を急ぐべきです。派閥の解散は、議論のすり替えです」。河野氏は「政策集団」として派閥を続投する考えの麻生氏の顔を立てながら、派閥解散を表明した岸田首相を暗に批判した。
首相の後ろ盾となってきた麻生氏だが、事前に派閥の解散表明を告げられなかったことから両者にすきま風が吹く。河野氏の言葉に、麻生氏は笑みを浮かべてうなずいたという。
15年前に初めて挑んだ自民党総裁選で、40代半ばだった河野太郎氏はキングメーカーの森喜朗元首相らを「腐ったリンゴ」と批判し、「重鎮支配」からの脱却を訴えました。いま3度目となる総裁選に臨もうかという河野氏は、自身に近い重鎮への配慮を欠かしません。その軸足はどこにあるのか、記事の後半で迫ります
■岸田氏に敗れた総裁選の反省…