5月7日のソフトバンク戦、ビッグチェーンネックレスをつけ笑顔をみせる西武の西川愛也=日刊スポーツ

 この一年で、埼玉西武ライオンズは生まれ変わった。

 昨年の今ごろは、もう自力優勝の可能性が消えていた。今季はパ・リーグの上位争いに加わって交流戦を迎えた。

 躍進を象徴する一人が8年目の西川愛也(25)だ。

 開幕戦からフル出場を続け、4月13日以降は1番に定着した。6月2日時点で、56安打はリーグ首位タイ、11盗塁はリーグ2位で、俊足を生かしたカバー範囲の広い中堅守備でもチームを救っている。

 ただ、西川に慢心はない。

 「僕なんかまだまだ全然序の口です」

 「シーズンを通して戦い抜いて、それを3年くらいは続けないとレギュラーとは言えない。ちゃんとした成績を残せるように、鼻を伸ばさず頑張らないと」

 自分に厳しい言葉を紡ぐ姿に得心がいったのは、その数日前、埼玉・花咲徳栄高の岩井隆監督(55)に高校時代の話を聞かせてもらったからだ。

 1時間以上の取材のなかで、岩井監督の語気がひときわ強くなった瞬間があった。

 高校2年春の西川について聞いたときだ。

 すでに4番打者として選抜大会に出場していた。下級生から主軸を担い、現状に満足して伸び悩んだ時期はなかったかと、記者が聞いたときだ。

 「ないない。てんぐになるとか、そういうのは絶対ないね」

 そもそも岩井監督は入学当初、西川が将来プロ入りするような選手になると想像していなかったという。

 足は速く、肩は強い。打撃フォームもきれいで、左打席から逆方向のレフト前に器用にはじき返せる。「少し天然な性格」だったというが、練習態度も学校生活もいたって真面目だった。

 ただ、決定的に欠けていたの…

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