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西武ホールディングス(HD)社長 西山隆一郎(にしやま・りゅういちろう)1964年、神奈川県出身。横浜国立大を卒業後、第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入社。2009年に西武HDに広報室長として入社し、経営企画本部長などを経て23年から現職

 今年度内に赤坂プリンスホテル(赤プリ)跡地の複合施設を売却する――。西武ホールディングス(HD)は今年5月、「大看板」の不動産を資産として流動化させる決断に踏み切った。西山隆一郎社長は、新たな戦略に沿って不動産事業のかじを切るため、「本気度を示したかった」と話す。目指す先には何が見えるのか。西山氏に聞いた。

主要100社景気アンケート

朝日新聞の「主要100社景気アンケート」で、各社の経営陣にインタビューした内容を随時配信します。

 ――5月に2035年までの長期戦略を発表しました。その中で、赤プリ跡地に建てた複合施設「東京ガーデンテラス紀尾井町」について、今年度内に「流動化(資産を売却)」すると明らかにしました。

 「必要な決断でした。長期戦略の核となる総合不動産事業を進めるには、『回転型ビジネス』をやることが必須です。どんなビジネスかというと、まず東京23区に約40万平方メートル、全国に1億平方メートル以上ある保有不動産で再開発を進めて価値を上げ、流動化する。そこで得た資金で未開発の地域や価値向上が必要な地域の開発を進め、それをまた流動化する。これを繰り返す。街を良くして地域貢献する改善のサイクルを始めるにあたって、当社の最適な成功事例が東京ガーデンテラスだと思っています」

 「赤プリ時代はホテルが中心でしたが、(ホテル・オフィス棟や住宅棟など3棟からなる)東京ガーデンテラスとして再開発して、2016年にオープンしました。再開発前に比べて価値は相当上がりました。(簿価が約1400億円のところ)鑑定評価額は約3千億円。ネット・オペレーティング・インカム(賃料収入から管理費を引いた純収益)は以前の5倍得られるようになりました。回転型ビジネスのサイクルにそのまま当てはまるので、再開発の最大の好事例であるこの不動産を皮切りにスタートするということです」

 ――ほかの不動産でも売却などを進めますか。

 「検討対象としては保有する…

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