前回参院選の演説会場で演説中の安倍晋三元首相が銃撃されてから3年がたつ。事件後、警備や警護が強化され、選挙の風景は変わった。一方、聴衆との距離をとることなどから、陣営側からは「昔ながらの選挙は難しくなる」といった声も漏れる。
5日夕、東武野田線七里駅前(さいたま市)には石破茂首相(自民党総裁)が党公認候補者の街頭演説に駆けつけた。ロータリーには、立ち止まって演説を聞けるエリアが鉄製の柵などで設けられたが、エリア内は聴衆でいっぱいになった。エリアの外側から演説を聴こうとする人もいた。
エリアの入り口では金属探知機を持った陣営スタッフが一人ひとりの手荷物の中身を調べていた。ペットボトルを持った人には、その場でボトル内の液体を飲んでもらい、危険物でないかを調べる徹底ぶりだった。
石破首相や候補者らは選挙カーの上で約50分にわたりそれぞれ演説をした。背後には白い防弾用の資機材が立てられ、聴衆とは30メートルほどの距離が保たれた。
選挙カーの周囲では制服や黒スーツ姿の警察官20人以上が警戒。駅舎の屋上にも警戒する警察官の姿があった。
ロータリーへの車両の進入も制限された。ロータリーに続く道の約200メートル手前から交通が規制され、じゃばら型のバリケードなどが設置されていた。
一方、演説が終わると、石破首相らが警察官に囲まれながら聴衆と握手する姿もあった。
選挙期間中の要人警護や聴衆…