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女性が介護をしている父親の手元。女性は夜中に何度もトイレの介助で付き添う=女性提供

 働きながら介護をする「ビジネスケアラー」が増え続ける一方で、介護報酬の引き下げや人手不足などを理由に、介護事業所の倒産が相次いでいます。介護と仕事を両立させていくために求められる介護保険の役割とは何なのか。みなさんと一緒に考えます。

ヘルパー不足で夜の訪問介護が使えない

 横浜市旭区に住む女性(57)は、母親が亡くなった2024年から、要介護4の父親を自宅で介護することになった。

 介護保険を使って入浴介助などのサービスを受けようと考え、ケアマネジャーに相談すると、予想外の答えが返ってきた。「ヘルパーが不足しており、入浴介助などの夜の訪問介護はできません」

 23年春ごろからケアマネに訪問介護の相談を始めており、当時は「事業者は見つかりますよ」と言われて安心していた。だが、いざ実際にサービスが必要となった段階で、利用できる訪問介護の事業所がない現実を知らされた。

 女性は朝10時から夜7時ごろまでパート社員として働いており、自宅にずっといることはできない。訪問介護が使えなければ、仕事を続けられないかもしれない。「介護離職」が頭によぎった。

 そこで頼ったのが、介護保険の「外」のサービスだった。

 介護保険は、入浴や排泄(はいせつ)介助、掃除や洗濯など、介護認定を受けた利用者の最低限の生活支援のサービスが対象となり、1~3割の自己負担で利用できる。

 これに対して、保険外の民間サービスは、深夜なども利用しやすく、趣味や娯楽の外出支援、同居家族のための家事支援など、幅広くカバーしてくれる。急なニーズにも対応しやすい。だが、便利な半面、全額が自費負担となる。

 女性は、夜間の入浴介助や配膳などで週4日、各2時間ずつ保険外サービスを使う。それ以外の日は、近くに住む妹とともに自分たちで入浴介助などを担う。公的な介護保険は、昼間の訪問介護やデイサービスで利用している。

 保険外サービスの費用は月2…

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