目の見えない人に仏像に触って仏の世界を知ってもらおうと、世界遺産の京都・仁和(にんな)寺が国宝の秘仏のレプリカを3Dプリンターで作った。盲学校で子どもたちに触れてもらい、7月初旬には大阪・関西万博で展示する。

3Dプリンターで作られた薬師如来坐像(ざぞう)を触る京都府立盲学校の生徒(左)ら=2025年6月16日午後3時15分、京都市北区、有元愛美子撮影

 6月16日、京都市北区の府立盲学校花ノ坊校地に「薬師如来坐像(ざぞう)」の原寸大のレプリカがお目見えした。平安後期の1103年につくられ、台座を含めた高さは約25センチ。素材は白檀(びゃくだん)だが、レプリカは樹脂製だ。

 仁和寺の僧侶が説明する。「ここは薬つぼ」「このでこぼこは螺髪(らほつ)といって、髪の毛です」

3Dプリンターで作られた薬師如来坐像(ざぞう)を触る京都府立盲学校の生徒=2025年6月16日午後3時38分、京都市北区、有元愛美子撮影
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 目が見えない生徒らが、指でなぞっていく。手にとって目の前まで近づける生徒もいた。南畑歩希(いぶき)さん(16)は「手にとって触れる方が断然わかりやすい。ほかの仏像も触れたらいいのに」。

 薬師如来坐像は、仁和寺の僧侶でもめったに見ることのできない秘仏。そのレプリカを作れば批判されるかもしれない。それでも作ったのは、1964年の東京パラリンピックの卓球で金メダルに輝いた岡山市の竹内昌彦さん(80)の願いがきっかけだ。

3Dプリンターで作られた薬師如来坐像(ざぞう)=2025年6月16日午後3時47分、京都市北区、有元愛美子撮影

 今年2月、仁和寺の僧侶たち…

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