小中学、高校の教員のキャリアアップを支援するシステムを香川大学が開発した。教員は自身の強みや弱みをチャートで把握したり、目指したい役職に適した研修の紹介を受けたりできる。香川県内の15市町の教育委員会と、国立学校5校、県立学校9校が導入を希望しており、8月下旬に運用開始の見通し。
システムは、香川大が県教育センターと連携し、IT関連会社「KAKEAI」(東京都)の技術協力を得て、2600万円かけて完成させた。文部科学省の委託事業を利用した。
年に数回行う教員と校長の面談で活用するのが狙い。これまでの面談は、教員の目標や評価の話が主だった。
2022年7月に教員免許の更新制度が解消されたため、研修の質の向上が求められることに。教員が将来目指したいキャリアを実現するためにも、さまざまな研修から必要なものを選ぶ必要が出てきた。
教員は面談前にシステムを使い、県教育委員会が設けた教員の育成指標11項目に関わる質問に答える。
すると、自分の強みと弱みがチャートで表示される。面談前に自分の資質や能力について可視化でき、校長も事前に把握して、面談で助言ができる。
また、教員がシステム上で、「生徒指導」「特別支援」などの今後伸ばしたいスキルや、「校長」「教務主任」など担いたい職務を選択すると、自分に合った国や県の研修が表示される。
多くの学校ではこれまで電話や紙の資料で面談の日程調整をしていたが、システムを使い省力化もできるという。
香川大の野崎武司副学長は「学校で先生は、多様で困難な課題への対応に追われている。新システムを使い、必要な力を高められるようになれば」と話す。(内海日和)