北区が整備する方針の中里貝塚の跡地。往時をしのばせるものはほとんどない=2024年5月15日午後1時4分、東京都北区上中里2丁目、石平道典撮影
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 国内最大規模ながら、「モースが発見」で有名な大森貝塚ほどの知名度はない東京都北区の中里貝塚。その魅力と価値を伝えようと、北区が整備に乗り出す。国史跡指定から24年。ずっと地下に埋もれていたが、「体験型展示」を目指して今年度中に工事を始める方針だ。

 縄文時代の国内最大の中里貝塚は、JRの3駅(尾久駅、上中里駅、田端駅)から徒歩約5~15分の住宅地にある。現在は広場になっていて、縄文時代の名残を思わせるものは何もない。東京湾からおよそ10キロメートル離れているが、縄文時代、付近はさらに奥深くまで海が入り込んでいた。

 縄文時代中期から後期初頭の約5200年前~4400年前の800年間に形成された。特徴は、ほかに例のないその規模だ。範囲は長さ約1キロメートル、幅約70~100メートルと推定され、厚さは最大約4・5メートル。推定体積は9万立方メートルを超え、国特別史跡の加曽利貝塚(千葉市)の10倍以上という。現地から約1・5キロメートル離れた飛鳥山にある博物館には、貝層のはぎ取り標本が展示されており、その巨大さが実感できる。

「貝塚はごみ捨て場」を覆した2種類の貝

 もう一つの特徴が、見つかっ…

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