兵庫県産イチゴ「あまクイーン」の規格外品を使ったサイダーとパンを手にする大学生たち=神戸市灘区のフレッズカフェ六甲店

 兵庫県産イチゴ「あまクイーン」の規格外品を使用したドリンクとパンを、兵庫県立大学の学生が考案した。今月から兵庫県内と大阪府内のカフェで販売したところ、好評で完売する店舗が続出。市場で扱われにくい規格外イチゴを有効活用することで、生産者の所得向上につなげていきたいという。

 県によると、今回商品に使用するあまクイーンを栽培する西脇市内の農園では、形や大きさなどが市場で販売する規格に合わないなどの理由で、収穫量の約15%にあたる1.5~2トンの規格外イチゴが廃棄されている。

 そこで、県立大国際商経学部グローバルビジネスコースの学生たちが昨年10月から規格外イチゴを使った商品開発を始めた。

 西脇市の農園を訪問したほか、六つのグループに分かれて考案した商品を「フレッズカフェ」を運営する阪急デリカにプレゼンし、2品の商品化が決まった。

 ストロベリーブーケサイダー(店内飲食税込み605円)は、あまクイーンのジャムにエルダーシロップ、炭酸水を合わせ、ミントを添えた爽やかなドリンク。

 あまクイーンのちぎりパン(同264円)は、あまクイーンのジャムを包んで焼き上げホイップクリームを注入したピンク色のパンで、ともに見た目も華やかな仕上がり。販促用のポスターや、店内放送の内容も学生たちが考えた。

 購入した客からは「サイダーは果肉がしっかりでフローズンでもイチゴの甘みが感じられる」「ちぎりパンは見た目が可愛くて生地がふわふわ」との意見が寄せられ好評を得ているという。

 ストロベリーブーケサイダーを提案した中野響さん(19)は「将来のビジネスに通じる活動ができた。フードロスになるかもしれないこんなにおいしいものが救い出せるのはうれしい」。

 ちぎりパンを提案した眞島唯希さん(19)は「自分が考えた商品を手にとっている人がいたのがうれしかった。設定した販売目標を超えていきたい」と意気込む。

 指導にあたった大野陽子准教授は「地域の産業、会社とつながって、学生にも学びがあり、企業にも何らかのメリットがある取り組みを目指している。イチゴを廃棄せざるを得ず困っている農家の方のお手伝いが少しでもできたら」と話す。

 2商品は県内と大阪府内のフレッズカフェ5店舗で販売し、好評のため4店舗で早期完売。29日現在六甲店でのみ販売している。(石田貴子)

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