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県立福岡高等視覚特別支援学校の図書館で試したボードゲームやカードゲーム。県立図書館などで借りてきた=同校提供
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 「指先に自信のある人、対戦しようよ」

 「惜しい!正解は3ではないです」

 3月中旬の昼休み、福岡県立福岡高等視覚特別支援学校(筑紫野市)の図書館。生徒や職員が5~6人のグループをつくり、あちこちのテーブルでカードや駒を使ったゲームを繰り広げていた。普段は静かな図書館が、廊下まで響く笑い声に包まれた。

 書棚を埋める約1万冊の蔵書を眺めていると、この場所が果たす特別な役割がよく分かる。

 同校には高校年代の生徒が通う本科と、成人が在籍し、あん摩マッサージ指圧師・はり・きゅうの資格取得をめざす専攻科がある。知的障害などを併せ持つ生徒もおり、判読可能な文字の種類・大きさや点字の習熟度も生徒によって様々だ。

 図書館では誰もが情報にアクセスできるよう、拡大図書や点字本、CDなど様々な媒体をとりそろえる。生理学や東洋医学の専門書、国家試験の参考書もある。

 本科3年の下里功汰朗さん(18)は漫画「はたらく細胞」(講談社)がお気に入りだ。かつては腰が曲がるほど顔を近づけて本を読んでいたが、入学後は「すごく楽になった」という。

 そんな同校図書館の新たな試みが、ボードゲームを使った交流だ。

 「年齢や見え方も様々な生徒がつながる場をつくりたい」。これは学校全体の課題でもあった。

【連載】母校 知っと~?

あの高校の伝統行事や名物はどう受け継がれている? 令和の時代の学校生活とは? 福岡県内のスクールライフの「いま」を描きます。

 きっかけは昨夏、司書教諭でもある国語科の糀美咲教諭(40)が県内の高校図書館でつくる協議会の研究会に参加したことだ。

 ボードゲームの分科会で、初対面の高校生同士が遊びながら打ち解けているのを見た。

 「うちの生徒たちも楽しめるのでは」。図書館司書補の冨崎涼子さんに相談すると「本に親しんでもらう入り口としてもいい」と賛成だった。

 生徒会室に眠っていた点字トランプを引っ張りだしてきたり、県立図書館で貸し出しを受けたり。授業にゲームを採り入れている教員からもおすすめを募り、2月から図書委員を中心に10種類近くを試した。

 ゲームのなかには、触覚を重…

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